授業参観の日に、全学年で発表をする日がある。
その学年での練習が今日から始まった。
音楽的な発表は合奏と合唱のグループに分かれる。
私は、合唱の主担当になった。
ちなみに、本校の上学年の音楽は専科による。
昨年度は4年生だったため、私は音楽の授業をしたことがない。
通常の授業ではないが、大きく見れば、
今日が人生で初めての音楽の授業である。
終わったあと、学年の50代のベテランの先生から
「今日の授業は神がかっていたね!手応えあったでしょ?」
と言われた。
それほど、45分での子どもの変貌ぶりはすごかった。
曲は「君をのせて」で、授業で一通り学習している。
二部合唱も経験している。
その専科の先生の指導があったから、
私はとても今日、楽しく授業できたので、感謝感謝である。
以下のように展開した。
本時目標は、初めての練習でもあったので、
とにかく声を出すことと、声を出すことで安定してハーモニーが
つくれることを体感することであった。
1.ゴールの確認
いつ、どのように発表するのかを分かっていない子どもが結構いた。
どこに向かっていくのかを全員で確認した。
2.ウォーミングアップ
既習であるため、一度自分のパートで歌わせた。
うまい具合に、上下のパートが半数ずついたため、
パートはそのままとした。
3.声をぶつける練習
黒板に投てき板やダーツの的のような絵を描く。
その中心に声をぶつけなさいと言う。
届けるのではなく、ぶつけるのだと強調した。
T「ぶつけるとどうなる?」 C「はね返る!」
T「だから、ぶつけて声がはね返ってきたら合格だよ。」
強弱記号を無視してとにかく声を出させる。
この時点で、地声とまではならない。
4.1年生の声で合唱
「1年生の合唱をしなさい。」と言う。
もちろん強弱記号は無視だ。
この練習のねらいは2つ。
1つは、悪い例をとにかく演じることで、良い歌い方を意識させること。
もう1つは、緊張からの解放である。とにかく大声で歌うことで、
身体的にだいぶ発散できるはずである。
音楽は表現なのだから、「はっちゃける」ことで、
最後にまとめることに向かって、スムーズにもっていける。
5.中学年の声で合唱
ちょっと難しくなる。「中学年?」という感じで、
ほどほどに地声を混ぜてくる。
このとき、子どもの頭の中では、
「これが終わったら高学年だな」と予想している。
そうすると、より歌い方を自分で意識するだろうと考えた。
6.高学年の声で合唱
まろやかな声で歌う。まとまりが出てくる。
ただし、このときに、「6年生の声で」とは言わない。
5年生からみれば1つ上の学年。
「5年生」である自分たちにもプライドはある。
だから、「高学年」と言った。
4年生で少し合唱を指導したときは
「6年生の声で」と言った。目標をより明らかにした。
7.発声に気を付けての合唱
あ行、な行、ま行などは非常に発音が曖昧になる。
そこで、「この行には気を付けるんだよ。」という指導では、
インパクトにかけるし、なかなか徹底しない。
ここで、魔法の言葉である。
「普通に教えるだけなら、先生は絶対に教えないんだけど、
みんながよく歌えるから、特別に教えるね。」とか、
「これは中学生に教えることなんだけど、
特別に教えるね。」とか、
特別感を演出する。
そうすると、子どもたちはお得だと感じ、食い入るように聞く。
「あの ちへいせん ~」という歌詞なら、
最初の「あ」を極端に強くさせる。
このフレーズは、mpなのだが、
「あ」だけは、fffに>(アクセント)がつくくらい。
そこで微調整に入る。
T「mpは『少し弱く』だから、『あ』も『少しはっきり』にしようね。」
あとは教師が調整する。
丁度よくなったら、うんと褒める。
そうしたら、全員で一度歌詞を読む。
気を付ける言葉を、テンポ良く洗い出していく。
1分程度で確認したら、まとめの合唱だ。
8.まとめの合唱
ポイントをおさらいする。
(1)声を的にぶつける。
(2)高学年の声で。
(3)発声
これで歌わせる。
歌っている最中、とにかく褒める。
褒めて褒めて褒めまくる。
これで42分くらい。
時間前に「終わります!」と言って気持ち良く解散。
NHKのコンクールに出られるんじゃない?
と気分を高める。
放課後、「君をのせて」を楽しそうに口ずさむ男子がいた。
今日の音楽は、体育で運動量を確保するのと同じ考えで、
とにかく歌う時間を多く設けようとした。
ポイントの指導は、一度静かにさせて指導するパターンと、
歌っている最中に褒めてどんどん指導するパターンがある。
音楽は絶対に怒ってはならない。
どの教科にも共通だが、学習の内容で怒ってはならない。
話を聞く態度だとか、準備物だとかは怒ってもいい。
ただし、特に音楽はできるできないで怒ってはならない。
男子も女子も気持ち良く帰っていった。
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